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B型肝炎訴訟  
 国との基本合意に向けての課題と今後の運動
      弁護士 牧 亮太

1 B型肝炎訴訟原告団が基本合意書案の受け入れを表明

本年5月2日、全国B型肝炎訴訟原告団は、札幌地方裁判所から提示された和解所見(基本合意書案)を受諾することを決定しました。基本合意書案は、発症後20年を経過した被害者への和解金が不十分なものであるなどの問題がありましたが、訴訟提訴後13名もの原告が亡くなり、早期に解決をしなければならない現状から、原告団は苦渋の選択の結果として、基本合意書案を受け入れることとしたのです。

しかし、基本合意書案を受け入れたとしても、基本合意が成立するまで次に述べるような問題が残っており、B型肝炎問題の全面解決にはまだまだ問題が山積しています。

2 基本合意成立の前提として国と確認しなければならない事項

 基本合意の成立に向けては、前提として、国との間で次の2点を確認しなければなりません。

1点目は、集団予防接種における注射器等の使い回しによってB型肝炎ウイルス感染被害を発生・拡大させ、被害を長年放置・隠蔽してきた国の責任の確認と謝罪です。2点目は、患者の方への偏見・差別のない社会実現のための啓発・広報活動、真相究明と再発防止、全てのウイルス性肝炎患者に対する恒久対策を実現するための原告団・弁護団と国との協議機関の設置です。

B型肝炎訴訟は、原告らの過去の損害の回復を求めてきただけではなく、国の謝罪を含め、恒久対策など上記の施策を実現することを目的としてきたことから、基本合意成立には上記の確認は不可欠なのです。

3 基本合意成立後の課題

  基本合意が成立し、和解手続きが進んだとしても、それは提訴することができた患者の方の過去の損害を回復するにすぎません。その先に、提訴患者の方の将来の治療体制の確立や、未提訴の被害者の被害回復とすべてのウイルス性肝炎患者の方が安心して治療を受け、生活が出来る社会を実現するための活動が必要です。

B型肝炎問題の全面解決に向けて、まだまだ頑張らなければなりません。
                                     以上

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