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短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」という、長くて、舌をかみそうな名前の法律ですが、パートで働く人には、ぜひ、知っておいてほしい法律です。
1 労働条件の文書交付など
雇い入れの際、労働条件を文書など(ファックスや電子メールでも可能)で、はっきりと示しておかなければなりません。
これまでも、契約期間、仕事をする場所と仕事の内容、始業・終業の時刻、所定時間外労働の有無、休日・休暇、賃金については、労働基準法15条などで、義務づけられていました。違反すれば、30万円以下の罰金となっています。
今回、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無も文書などで明示することが義務化されたのです(6条)。違反の場合、10万円以下の過料となっています。
就職に際しては、雇い主から「労働条件通知書」などの書面をもらい、よく読んで、大切に保管しておいてください。もし、書いてあることの意味がわからない場合は、ご遠慮なく、ご相談ください。トラブルになる前に、就職する前に、よく理解しておくことが大切です。入社してから、「こんなはずではなかった」ということも多いのです。
募集広告を見て就職したが、入社してみると、労働条件がぜんぜん違うというトラブルは、めずらしくありません。「パートだから」と簡単に考えて入社して、後になって、怒ってみても、労働条件の取り決めがあいまいで、泣き寝入りせざるを得ないこともあり得ます。
2 通常の労働者への転換の推進
「パートで入社したけど、正社員として働きたい」という人もいます。通常の労働者の募集求人広告を出す場合に、パートにも知らせることや、社内で登用制度を設けることなど、転換を促進する措置を義務づけています(12条)。
雇用にあたって、優先権があるわけではありませんが、どんどん活用してください。
3 待遇の決定についての説明義務
パート社員と正社員で、大きな待遇格差があることは、よく指摘されているとおりです。今回、格差そのものが禁止されたわけではありませんが、パート社員からの求めがあった場合、待遇決定に当たって考慮したことを説明する義務が認められました(13条)。
もちろん、「パートだから」では理由になりません。業務内容、臨時・緊急時に求められる対応の程度などの「違い」が問題になります。但し、パート社員に「納得してもらう」義務まではありません。
労働組合の団体交渉などで、生かしていくことができるでしょう。
4 均衡のとれた待遇の確保の推進
パート労働者の待遇はその働きや貢献に応じて決定すべきものとされ、4類型に分けて、それぞれの規定があります。そのなかでも、通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取り扱いが禁止されました(8条)。これに該当する労働者は、ごくわずかであると言われていますが、定年後の再雇用、フルタイム・パート、期間雇用(契約社員)、請負、派遣の問題への影響(類推適用など)が予想され、将来的に、大きな可能性を秘めています。今後、どのような活用方法があるのか、知恵と力を合わせていきましょう。
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